アブラナ科野菜の機能性成分

1.グルコシノレート
ブロッコリー、ダイコン、ワサビ等のアブラナ科植物には、グルコシノレート類が多く含まれます。グルコシノレートはカラシ油配糖体とも呼ばれ、酵素(ミロシナーゼ)によって加水分解され、イソチオシアネートを生成します。例えば、ブロッコリー中のグルコシノレートであるグルコラファニンは、ミロシナーゼが働くことによって、スルフォラファンに変換されます。
グルコシノレート (グルコラファニン) | イソチオシアネート (スルフォラファン) | |
(酵素ミロシナーゼによる加水分解) |
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弊社ではグルコシノレート類の定性分析と定量分析が可能です。
検体にどのようなグルコシノレート類が含まれているか不明な場合は、定性分析をお勧めいたします。
定性分析の結果から、グルコシノレート類を特定し、定量分析を行うことをお勧めいたします。
定性分析:どのような化合物が含まれるかを特定する分析方法 / 定量分析:特定の化合物の含有量を定量する分析方法
【主なグルコシノレート類】
これまでに、132種類のグルコシノレートが発見されている。グルコシノレートはアミノ酸から生合成される。このため、アミノ酸の種類によって、グルコシノレートは、脂肪族・芳香族・インドールの3種類に大別できる。
例えば、ブロッコリーに含まれるグルコラファニンは、メチオニンの同族体の側鎖を二倍に長くしたジホモメチオニンから生合成される。脂肪族グルコシノレートは、フェニルアラニンとその長鎖同族体ホモフェニルアラニン、およびチロシンから生合成され、シナルビンなどが含まれる。インドールグルコシノレートには、トリプトファンから生合成されるグルコブラシシンなどが含まれる。
脂肪族グルコシノレート
成分名 | CAS No. | 分子式 |
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グルコラファサチン | 28463-23-2 | C12H21NO9S3 |
グルコアリッシン | 499-37-6 | C13H25NO10S3 |
グルコベルテロイン | 29611-01-6 | C13H25NO9S3 |
グルコブラッシカナピン | 19041-10-2 | C12H21NO9S2 |
グルコカッパリン | 497-77-8 | C8H15NO9S2 |
グルコケイロリン | 554-86-9 | C11H21NO11S3 |
グルコエルシン | 21973-56-8 | C12H23NO9S3 |
グルコヒルスチン | 21973-60-4 | C16H31NO10S3 |
グルコイベリン | 554-88-1 | C11H21NO10S3 |
グルコイベルビリン | 26888-03-9 | C11H21NO9S3 |
グルコナピン | 19041-09-9 | C11H19NO9S2 |
グルコナポレイフェリン | 19764-03-5 | C12H21NO10S2 |
グルコラファニン | 21414-41-5 | C12H23NO10S3 |
グルコラフェニン | 28463-24-3 | C12H21NO10S3 |
プロゴイトリン | 585-95-5 | C11H19NO10S2 |
シニグリン | 534-69-0 | C10H17NO9S2 |
エピプロゴイトリン | 19237-18-4 | C11H19NO10S2 |
グルココクレアリン | 499-24-1 | C11H21NO9S2 |
グルコイバリン | 112572-51-7 | C15H29NO10S3 |
グルコへスぺリン | 33049-17-1 | C14H27NO10S3 |
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脂肪族グルコシノレート
成分名 | CAS No. | 分子式 |
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グルコバルバリン | 21087-78-5 | C15H21NO10S2 |
グルコナスツルチイン | 499-30-9 | C15H21NO9S2 |
グルコシバリン | 155450-31-0 | C15H21NO10S2 |
グルコトロペオリン | 499-26-3 | C14H19NO9S2 |
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インドールグルコシノレート
成分名 | CAS No. | 分子式 |
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4-ヒドロキシグルコブラッシシン | 83327-20-2 | C16H20N2O10S2 |
4-メトキシグルコブラッシン | 83327-21-3 | C17H22N2O10S2 |
グルコブラシシン | 4356-52-9 | C16H20N2O9S2 |
ネオグルコブラシシン | 5187-84-8 | C17H22N2O10S2 |
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2.イソチオシアネート類
イソチオシアネート類は、グルコシノレート類が酵素ミロシナーゼによる加水分解を受けて生成する。このため、植物中にはほとんど存在せず、植物が損傷を受け、酵素が働き、イソチオシアネート類が生成する。
グルコシノレート (グルコラファニン) | イソチオシアネート (スルフォラファン) | |
(酵素ミロシナーゼによる加水分解) |
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ただし、加熱などによって酵素が失活すると、イソチオシアネート類は生成しません。例えば、茹でたブロッコリーに傷をつけても、スルフォラファンは生成しません。
グルコシノレート (グルコラファニン) | イソチオシアネート (スルフォラファン) | |
(酵素ミロシナーゼの失活) |
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弊社ではイソチオシアネート類の定量分析が可能です。
植物体に含まれるミロシナーゼを利用して、グルコシノレート類からイソチオシアネート類を生成させます。
このため、加熱処理されたサンプルの分析はできません。
定量分析:特定の化合物の含有量を定量する分析方法